日本茶ブランド「美濃加茂茶舗」を展開する株式会社茶淹の代表 伊藤さんにorosyでの体験談、ブランドのこだわりや今後の展望についてうかがいました。
もうすぐ31歳になりますが、お茶を始めたのが24歳くらいの時。新卒で入った会社を約2年で退社し、転職する先がたまたまお茶屋さんでした。
それまでは興味がなく、そもそも好きとか嫌いという以前の話で、お茶自体にあまり触れてきませんでした。
お茶を全然知らなかったところから、産地や種類によってお茶の味も香りも全く違うということに面白さを感じ、気づいたら夢中になっていました。
車で行ける岐阜県の白川茶の産地、東白川村に行った際に、今まで飲んできたお茶の中で一番自分の体に合っているお茶に出会いました。
そこで今一緒に事業をやっている生産者さんと知り合い、お茶がすごく好きで、こんなにお茶に対して熱量を持った方がいるんだということに驚きました。
その時に、いつかイベントなどで一緒にやれたらいいね、くらいの話をしたのですが、まさか事業を一緒にやるとは思っていませんでした。
香りがすごく澄んだ爽やかな香りが岐阜県白川茶の特徴です。
お茶の味は、木の育て方や肥料の与え方など、栽培方法次第で作りだすことも可能です。
例えば、旨味の強い味を出したい時は、特定の肥料を与えると旨味が乗りやすかったりします。
香りに関していうと環境に依存するところが強く、白川茶のような標高の高いところのお茶は山の香りと呼ばれ、かなり澄み切った後味と香りになります。
美濃加茂茶舗でも環境から生まれた特色を生かすようなブレンドを心がけています。
美濃加茂茶舗を始める前の約2年、常連さんしか来ないようなお茶屋さんに勤めていました。同年代の人たちにもっとお茶を届けたいと考えた時に、既存のパッケージはデザイン性に欠けるなとずっと感じていました。
だから、美濃加茂茶舗はロゴやパッケージデザインでも自分達の価値観を表現し、価値観を含めてお茶を楽しんでくれる人に届けたいと思っています。
デザインで言うと、リモートワーク時代の100年使える湯のみ「CHAPTER[チャプター]」という美濃加茂茶舗とクリエイティブユニット「TENT」が共同でデザインした湯呑みがあります。デザイナーさん、ライターさんなどのデスクワークが多い人たちの一区切りのツールとしてお茶を提案したいというのがコンセプトにあります。クリエイターさんはmacを使っていたり、apple製品が好きそうというイメージがあります。デスクワークの中で仕事ツールの隣に置いてあっても違和感がないプロダクト、を心がけて作りました。
このように、リモートワーク時代の新しい習慣の一つとして日本茶を飲む行為を、暮らしやお仕事に取り入れられるようなブランディングもしています。
もともと美濃加茂茶舗は今の株式会社茶淹ではなく株式会社IDENTITYという別の会社が運営する1プロジェクトでした。そこにプロジェクトリーダー的なかたちでアサインされ、プロジェクトを進めていたのですが、ちょうど1年経った頃にこの事業をどうしていくかという話になりました。お茶を専門として将来的には独立したいという思いがあったので、早いうちに独立したらどうかと薦められたのを機に独立を決めました。
もともとECを中心に小売に力を入れてやってきたので、小売事業が伸びると配送コストの調整や配送業務が手間になってきました。今期から改善を進め、工場から全部配送し、事業の成長に伴いながら業務を簡略化するように、徐々に移行しています。
割合で作業量は増えてはいますが、従業員は増やさず、コアメンバーもそのままです。チームメンバーにはフリーランスの方もいるので必要に応じて対応してもらっています。
日本茶インストラクターとして個人で受けている仕事はそれほど多くはないので、98%ほどのリソースを茶淹の事業に注力しています。
現在、岐阜と愛知(名古屋)を拠点として運営していますが、自分の目が届き小回りがきく範囲(近場)と直接訪問して訴求できない(遠方)の2軸で卸しを考えています。
取引先の半分である名古屋市内は、自分で直接訪問して取引先を広げています。海外や首都圏のような直接訪問ができず営業コストがかかるところは、orosyを使って開拓していきたいと思っています。
海外に関してはJETOROさん経由でバイヤーさんからお問合せいただいています。まだ自ら営業をかけられるほどには至っていませんが挑戦していきたいです。
orosyは単なる仕入れサービスではなくブランドのコンセプトやビジョンをバイヤーさんに伝えるということを大切にしているのを実感しています。
僕らの商品はお茶なので、まず商品の本質は飲まないとわかりません。お茶は味の差別化が難しい商材なので、なおさらブランドコンセプトを前面に出さないとお客様に商品の良さは伝わりません。
お問い合わせいただくバイヤーさんと僕たちがブランドを届けたいペルソナが一致しており、全くミスマッチがありません。それはコンセプトが伝わっているからだと思います。
実は以前他のサイトに登録した際は、「半額以下の商品はないか?」という問い合わせなどがあり、お互いにとって良いご縁に繋がらないこともありました。
新規のバイヤーさんと購入までいくケースはまだ多くはありませんが、ここ2〜3ヶ月くらいで問い合わせが増えました。
ブランドコンセプトを大切に届けてくれるorosyを今後も利用していきたいと思っています。
短期的には卸し先の拡大、中長期的には店舗を構えるというのが目標です。
店舗展開できるくらい卸し先を増やし、海外にも挑戦していきたいです。
もともとは小売事業を柱としてやっていこうと思っていましたが、今期はかなり卸に人員を割いて注力していく予定です。
会社はまだ3期目なのであまり大きな投資はできませんが、まずは基盤を固めるためにブランドを育て、将来を見据えていきたいと考えています。